阿羅本景infomations

小説家・シナリオライター・漫画原作の阿羅本の告知系BLOGになります

『前島賢の本棚晒し』で『碓氷と彼女とロクサンの。』の書評を頂きました &キャラクターの話 その2 白鳥明日香


『前島賢の本棚晒し』
蘇れロクサン! ディテールに神を宿す鉄道小説
碓氷と彼女とロクサンの。

セカイ系とはなにか』を書かれている、批評家の前島賢氏がebooksjapanで連載されているライトノベル書評のコラムに、拙著の『碓氷と彼女とロクサンの。』が取り上げられております。


以上は、EF63の話なのだけど、きっとおそらく、日本を走るすべての列車のそれぞれに、こういうエピソードがあるのだろう。険しい山々を抱く日本の国土、あるいはそこで生きる人々、そして今日までの歴史、そしてむろん人類の英知の結晶たる科学技術……一台の列車の背景には、冗談でなくそれらすべてが詰まっている。これは確かにハマるだろうなぁ……と納得した次第。だから本書は、これまで「鉄」にあんまり興味がなかった……という評者のような人間にこそ、読んでほしいと思う。なぜ「鉄道」はこうまで人々を引きつけるのか。その確かな片鱗をかいま見ることができるはずだからだ。


 そんな渾身の叫びを、どうかあなたも聞き届けて欲しい。
「神は細部に宿る」……なんて言葉の見本にしたい、EF63への「愛」で書かれた鉄道青春ラブコメである。いやあ、いいもん読ませて頂きました。


 ……等の、お褒めを頂きありがたい限りでございます。
 是非とも皆様、ご覧になって頂けますようよろしくお願いします。

碓氷と彼女とロクサンの。 (ファミ通文庫)

碓氷と彼女とロクサンの。 (ファミ通文庫)

 あーさて、キャラ語りの第二回もこちらに更新させて頂ければと思います。
今回は、作者が作中一番気に入ってるんじゃないのかと思われるキャラクター

 しぇるぱ部部長の白鳥明日香嬢です。

 彼女はなつきちのように、他の作品にモデルとなるキャラクターがいるのか……というと、なかなかに微妙なところではあります。
 明確に明日香のひな形になったキャラクターというのはおりまして、それは私のライトノベルデビュー作である『とわいすあっぷ!』の三巻から出てくる、西の守姫・彩葉いつきでございます。

とわいすあっぷっ! 3 (集英社スーパーダッシュ文庫)

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とわいすあっぷっ!〈4〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

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 ……彼女は作中で指折りの強大な力を持つキャラクターにして、傍若無人・他人の話を聞かない・その癖にノリノリでいろんなモノをぶっ壊しまくって現れるとんでもねえパワープレイキャラでありながらも、当時の担当編集をして「阿羅本さんが一番よく書けてたキャラ」と言わしめ、私としても「いやー、いつきはフルスイングするキ○ガイだから出していると楽しい」と言っていたキャラであります。読者の人気もわりとあったかなぁ……と。そもそもあの頃の俺に愛読者がおったのか、という問題はさておき。
 どれくらい気に言ってたかというと、私のツイッターのアイコンも、ビールに浸ったいつき、のままなくらいですし。

 その大本のルーツはなにか、というと……『月姫』の遠野秋葉、と言えない事もないのですが、言動等々は大分違いますし。これは、阿羅本というモノカキの中で「気の強いお嬢様」が発酵熟成していった結果のスピリッツが、いつきであり明日香なのかなぁ、と思う次第です。

 で、『碓氷と彼女とロクサンの。』はなつきちもそうですが、作中キャラクターを設定するに当たって「私が書いていて楽しいやつら」という基準があったので、学生で碓氷の機関車を動かそうとする無茶苦茶な計画を、無茶苦茶ながら貫き通す推進力となるキャラクターは、そらいつき型のがおらんとダメだよなぁ、ということで、皆様の知る明日香部長の登場に相成ったのでした。
 ですが超能力持ちとかないこのお話に、彼女にそれ相応のパワーをくっつけようとするとお嬢様・実家が影響力のある金持ち、という属性を……そうなると、舞台となる横川と軽井沢の両端の、軽井沢サイドの大金持ち→そんなもんプリンスホテル西武グループしかおらんやろう! ということで……作中は「武鉄」といってますけど、ええ、まぁ、そういうことです。
 名前の「白鳥(しらとり)」はもちろん、特急「白鳥(はくちょう)」から。明日香という名前は……うーむ、なんで付けたのか明確な理由はなんだったかな、えらくて強そうな名前にしたかったのですが。アスカ・ラングレーじゃないよなぁルーツは、ツンデレじゃないから。
 読者の人に謂われはジョイフルトレインの「あすか」ですか? と聞かれて「……え? そういうのあったんですか?」と言うくらいのが阿羅本なもので、どうにもここの理由が我ながら謎っぽい。

さらば特急「白鳥」1(大阪?敦賀) [DVD]

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 旧作のキャラと違うのは、彼女は同志意識が強く、仲間を守ろうとする責任と使命感があるので、相応にしゃきっとしたカッコイイ女性に見える……のでしょうか。言い出す事は無茶苦茶ではありますが、彼女自身無茶だと思いながら「私がやらないと、誰もやらないから」と突っ込んでいく雄々しさが、作者としてもこいつ書いてて面白いなぁ、と思ってたのでした。
 特に、EF63での救出作戦を提案し出すあたりは、きっと読者の皆さんもゾクゾクしたのではないのかなぁ、と想像する次第です。いや、かっこよかったしね彼女はあそこは!
 あと、女子学生鉄道部であるしぇるぱ部が出来たのは主に彼女のせいという……こんだけガリガリに意志が強いヤツが「男は嫌いだ」と言えば、それをねじ伏せて男女混合の活動には出来まいな、と言う説得力を持たせるほど、まぁ、白鳥部長は装甲ブルドーザーみたいなキャラでなければいかんかったのですよ(笑)
 作中で語るのを忘れましたが明日香部長の金髪はあれは地毛です。母方の祖母がフランス人で、母親がハーフの女優で、髪の色は祖母返りしたクォーター……などと設定していましたけど、そんなことどうでも良くなるくらいパワフルに動いていたので、髪の毛が少し金髪だったとしても「ああそうか、こいつはサイヤ人だったんだ」くらいに思われていたのではないのか、とか。
 そして、かっこいい明日香部長をすごく格好良くデザインして頂いたバーニア600先生には感謝です。明日香は割と、すんなり決まったとおもいます。

 彼女も私ももっと書けたらなぁ、と思ってるキャラですので、皆様のご声援を頂ければ、ありがたく思います!